リード
子どもがコンセントに手を伸ばす。テーブルから椅子によじ登る。あぶないので「ダメ」と言う。日に何十回も繰り返される。
ある日、SNS で「『ダメ』と言わない育児」という言葉を見る。専門家のような発信者が、「ダメは子どもの自己肯定感を下げる」と書いている。同じ日に、別のアカウントが「『ダメ』をきちんと使えない親が問題」と書く。両方の言い方が同じくらい強い口調で、しかも、両方とも出典が示されていない。
この「使う/使わない」の論争を、もう少し落ち着いた地点から見直したい。エビデンスは、極端なポジションのどちらも支持していない。「ダメ」をどう使うかは、どんな声で何を伝えるか、その直後に何が起きるか、という文脈変数で評価されるべきだ、というのが、行動療法と発達精神病理学の積み重ねが描いてきた像である。