リード
夕食の片づけをしながら、今日もまた野菜をほとんど残された皿を見る。頭をよぎるのは、「この子、ちゃんと栄養足りているのだろうか」という不安だ。
不思議なのは、同じ週のうちに、納豆ごはんを 2 杯おかわりした日や、給食のスープを完食して帰ってきた日があったはずなのに、そちらの記憶はずいぶん薄いことだ。残された皿のほうばかり、鮮明に覚えている。
この非対称は、親の能力や関心の問題ではない。人間の記憶の仕組みそのものだ。本稿では、その仕組みを逆手にとって、偏食の不安を「書くこと」で構造的に和らげる方法を考えてみたい。