リード
「一人っ子はわがままになる」「孤独で社会性が育たない」——こうした言説を、少なくとも一度は耳にしたことがあるのではないか。育児書や祖父母の助言のなかに、根拠のない確信として混じりこんでいる。
一人っ子という家族形態は、世界的に見てもはや少数派ではない。日本でも出生率の低下とともに、きょうだいのいない子どもの割合は増加し続けている。それにもかかわらず、「一人っ子神話」とでも呼ぶべきステレオタイプは根強く残る。
この記事では、一人っ子をめぐる実証研究——とりわけ Falbo と Polit による大規模メタ分析以降の知見——を整理し、神話がどこから来て、研究はそれにどう答えてきたかを検討する。