リード
4歳の誕生日を過ぎたあたりから、絵本のページを指でなぞって「これ、なんてよむの」と聞かれることが増える。書店には『3歳までに読める』『5歳で全部書ける』を謳うドリルが並び、SNS では同月齢の子の手書きノートが流れてくる。
ひらがなはいつ読めれば「ふつう」なのか。読めることは小学校以降の学力にどう関わるのか。そして、家庭で先取りすることはどこまで意味があり、どこから害になるのか。
結論を先に書けば、この問いは「いつ」「どれだけ」より、日本語という言語の音の構造から考え直すと整理しやすい。本稿では、ひらがな獲得をめぐる査読研究を手がかりに、英語圏のアルファベット学習とは別の話であること、そして就学前先取りの効用と限界を整理する。