Memori へようこそ

読了時間 約 5 分
文字数目安
1,800〜2,200字
形式
開発者からのオンボーディング・レター(v1 ドラフト、ユーザー側で書き直し前提)
配信タイミング
初回起動後、最初の画面に固定 / アプリ内 設定 > このアプリについて から再読可
文体例外
シリーズ唯一の「です・ます」調(署名付きレターのため意図的な register 変更)
著者
森口 蓮音(Memori 開発)

数あるアプリの中から、Memoriを選んでくれてありがとうございます。これを書いている今、あなたの手元には、生まれたばかりの、あるいはこれから生まれてくる小さな存在がいるのだと思います。その毎日の片隅に、このアプリを置いてもらえることを、とても嬉しく思っています。 Memoriは、育児記録とアルバム、そしてAIによる赤ちゃんの理解を、ひとつの場所に束ねるアプリです。授乳・睡眠・おむつといった日々の記録から、写真と動画によるアルバム、そして泣き声・便・ミルクの量といった「言葉にならない情報」をAIが読み取る機能まで。育児という営みのほぼ全域を、ひとつのアプリの中で完結できるように設計しました。 ただ、機能の話よりも先に、私がこのアプリで何をしたかったか、その話をさせてください。

育児アプリは、すでに世の中にたくさんあります。だから私は、Memoriを「もう一つの育児アプリ」にはしたくありませんでした。 まず、私たちは広告を出しません。あなたの育児記録を、第三者に売ることもありません。育児中の親というのは、もっとも広告のターゲットにされやすい人々です。眠れない夜にスマートフォンを開いた瞬間、不安を刺激する広告が流れ込んでくる──そういう設計には、私は関わりたくありませんでした。 もうひとつ、Memoriは育児記録の枠を少しだけ越えようとしています。授乳の時間や睡眠の長さを書き留めるだけでなく、便の状態、ミルクの量、泣き声──赤ちゃんが言葉にできない情報を、AIが読み取り、整理する。ただし、AIの役割は「親の代わり」ではなく「親が我が子をより深く知るための鏡」だと考えています。判断を置き換えるためではなく、判断の材料を増やすために、AIを置いています。育児における権威は、最後まで親の側にあります。

Memoriは、私が一人で代表を務める Institute of LAG Research という研究機関の一部として作られています。私はそこで、──計算機医療と呼ばれる、医学とAIの境界領域の研究を続けています。 計算機医療が目指しているのは、ひとことで言えば「医学に個別性を取り戻すこと」です。これまでの医学は、平均的な患者に対する平均的な治療を作ることが得意でした。発達曲線も、月齢ごとの目安も、予防接種のスケジュールも、母集団全体に対する処方箋です。それは大切な土台ですが、目の前にいるあなたの子に対する処方箋ではありません。AIは、この「平均から個別へ」という長年の課題に、初めて現実的な道を開きつつあります。 私の研究の中心にあるのは、「自分の状態を言葉で説明できない存在を、AIがどこまで誠実に推定できるか」という問いです。意識のない患者、麻酔下の患者、そして──乳幼児。彼らは、自分が今どういう状態にあるかを言葉で伝えることができません。だからこそ、それを推定するAIには、誠実さが求められます。データが足りないとき、根拠が薄いときに、AIは「分かりません」と言えなければならない。便の写真が暗すぎるなら判定を出さない、泣き声が短すぎるなら推定を控える。MemoriのAIは、そういう運用で設計しています。便利さよりも、誠実さを優先しています。 そしてもうひとつ、お伝えしたいことがあります。Memoriに記録されたデータは、匿名化したのちInstitute of LAG Researchの研究に活かさせていただきます。Partner Ultraをご利用いただく場合は規約に同意いただいたうえで、無料でお使いいただく場合はあなたが明示的にした場合に限り、匿名化された形で。広告のためでも、第三者に売るためでもありません。乳幼児という、医学がもっともデータを得にくかった領域に、現実の家庭から集まる生活データの蓄積を作るためです。これは、これまでの医学が手に入れられなかったものです。教科書には載っていない、現実の親子の毎日の記録。それを土台にして初めて、「あなたの子に固有の医療」と呼べるものが見えてきます。Memoriを使うあなたは、データを提供してくれている人ではなく、計算機医療の最初の世代を一緒に作っている人です。私はそう考えています。もちろん、いつでも提供を止められます。 これは、私が研究者として譲れない部分です。そして、いつか自分が親になったときに、我が子のために選びたいと思える道具を作りたい──その願いから来ているものでもあります。

最初の 30 日、こう歩いてみてください

オンボーディングの目安として、よければ次の流れを参考にしてください。項目を埋めることを目的にしないのがコツです。

1〜3 日目: 何もしなくていい

最初の数日は、アプリを開かなくて構いません。子どもの登録だけ済ませて、画面を閉じてください。「使わなければいけない」状態にしてしまうと、続きません。

4〜7 日目: 1 日 1 枚、写真だけ

写真を 1 枚だけ撮ってアプリに入れる。コメントはなくていいです。寝顔でも、後ろ姿でも、ぼやけていても可です。1 週間続くと、タイムラインに 7 枚並びます。それだけで、思っていたより景色が立ち上がるはずです。

8〜14 日目: 1 行だけ書く日を作る

今週のうち、3 日くらいでいいので、写真に一行添えてみてください。「機嫌が悪い 1 日」「初めてのいちご」「自分が泣いた」——何でも。完璧な要約は目指さないでください。未来の自分が「あの日の話だ」と思い出せれば十分です。

15〜21 日目: 振り返る

2 週間分の記録を、頭から読み返してみてください。たぶん、書いたことの半分は忘れています。「こんな日があったんだ」と思う行が 1 つでもあれば、続ける価値はあります。なければ、無理に続けなくていいです。

22〜30 日目: 自分のリズムを決める

毎日でも、週 1 でも、月 1 でも、続けやすいリズムを見つけてください。Memori 側からはリズムを強制しません。「自分が読み返したくなる頻度」が、たぶん正解です。

100 本のコラムについて

本アプリには、0〜6 歳の育児に関するコラムを収録しています。エビデンスベースで、トーンは「親に対して敬意を持つ」を一本の縦軸に置いて編集しました。広告ではありません。読まなくても困りません。けれど、夜に寝かしつけで悩んだ日や、健診で「気になる」と言われた日に、検索して 1 本だけ読むような使い方ができれば嬉しいです。

困ったとき・要望があるとき

設定画面の「開発者にフィードバック」から、または contact@lag-institute.com まで送ってください。できるだけ早く返信します。

最後に

このアプリを使わない選択もまったく構いません。「育児を完璧に記録する義務」は、誰にもありません。 ただ、もし合うなら、長く一緒に歩けると嬉しいです。

ようこそ。お子さんの 6 年間が、あなたにとって意味のあるものになりますように。

森口 蓮音 Memori 開発者 Institute of LAG Research 代表