リード
「殴ってはいない」「物を取ったわけでもない」——そう言われると、何が起きているのかが見えにくくなる。無視する、グループから外す、陰口を言いふらす、招待しない。こうした行為は、身体的な攻撃ではないが、標的となった子どもに深刻なダメージを与えることが、発達心理学の研究で繰り返し示されてきた。
Crick と Grotpeter が 1995 年に発表した論文は、「関係性攻撃: relational aggression。無視・グループ外し・噂の流布など、対人関係を武器として用いる攻撃行動。被害は身体的攻撃の被害と同じように抑うつや孤独感と関連することが示されている(relational aggression)」という概念を明確に定義し、この種の攻撃が従来の攻撃研究では見落とされてきたことを示した [1]。翌 1996 年の研究では、関係性攻撃の被害を受けている子どもが、身体的な攻撃の被害者と同じように抑うつや孤独感を抱えやすいことが報告されている [2]。
この記事では、関係性攻撃の概念と、それがスマートフォンとSNSによってどのように変容・拡大しているかを整理する。