1. Memori
  2. ›
  3. コラム

「もう赤ちゃんじゃない」 — 自己概念の立ち上がり

執筆: 森口 蓮音2026年5月13日 公開2026年5月18日 更新読了時間 約 6 分English version available
対象
5〜6歳の子の保護者

3行まとめ

  • ·5〜6歳は自己記述が「外的・観察可能な特徴の列挙」から「抽象的な自己像」へ移行し始め、社会的比較も急増する、自己概念が一気に厚みを増す過渡期にある
  • ·「もうお兄ちゃん」という宣言と翌日の退行は矛盾せず、まだ硬化していない自己像が状況に応じて柔らかく動いているサインであり、安全に退行できる余地が自己の語り直しを促進する
  • ·自伝的記憶は養育者との「過去の語り直し」を通じて時系列を獲得するため、乳幼児期の記録は親の記憶装置であると同時に子が将来自分を語り直す素材庫でもある

目次

  1. リード
  2. 鏡の前から始まる長い線
  3. 5〜6 歳の自己記述に起こること
  4. 退行は失敗ではなく構造の一部
  5. 保護者にできること — 語彙と記録
  6. まとめ
  7. References

リード

ある日、子が玄関で靴を履きながら「だってもうお兄ちゃんだもん」と言う。下の子が生まれたわけでもない。誰かに言われたわけでもないように見える。それでもその日から、自分のことを少し違う言葉で語り始める。

その一方で、夜の歯磨きでは「ママが磨いて」と甘え、保育園の朝には「だっこ」とせがむ。前進と退行のあいだを行ったり来たりする時期だ。

5〜6 歳は、子どもが「自分とは誰か」を、それまでよりも明確な輪郭で語り始める時期にあたる。鏡の前で自分を認識するという乳児期の課題から続く長い線の、ひとつの結節点である。この記事では、自己概念が立ち上がるとはどういうことかを、発達心理学の古典研究を経由しながら整理する。

Partner Ultra / Ultra 限定

この続きは、Partner Ultra / Ultra 会員限定です

命や安全に関わる情報は無料で公開しています。発展的な内容は、めもりアプリの会員限定でお読みいただけます。

全部アプリで見るサインインして続きを読む →

すでに会員の方は、サインインすると続きがこの場で表示されます。

めもりアプリでは

めもりアプリでは、発達を平均と比べるのではなく、その子自身の変化として追えるようにしています。

  • はじめての寝返り、はじめてのことば。節目は日付つきで残せます
  • 身長・体重・頭囲は、日本の最新の基準値(2023年)の曲線に重ねて表示されます
  • 「去年の夏、海で」のような言葉で、写真を探せます
めもりについて詳しく →
← 前の記事性自認のはじまり — 4〜5歳の発達と家庭の役割次の記事 →就学準備 — 必要なもの・不要なもの

関連記事

  • 自転車補助輪はいつ外すか — バランスバイクの研究
  • 「6歳の壁」と就学不安 — 言われる現象と研究の交差点
  • 習い事 — 開始年齢と継続率のエビデンス