リード
「うちの子はいじめていない」という言葉は、おそらく多くの場合に正確だ。加害者は少数で、被害者も少数だ。問題は、その間に広がる、より大きな層をどう見るかにある。
いじめの研究が積み上げてきたのは、「加害者と被害者の二人の関係」ではなく、クラスという集団がひとつのシステムとして機能するときの、役割の分布だ。加害者がいなければいじめは起きないが、それを維持させているのは笑いや視線や沈黙という、もっとひろい関与の総体だということが、長年の調査研究で繰り返し示されてきた [1,2]。
この記事では、フィンランドの発達心理学者 Christina Salmivalli が提唱した参加者役割理論を軸に、いじめの構造を整理する。処方箋は安易に書けない。ただ、構造を知ることで、問いの立て方が変わる。